しかし、折りしも1990年といえばアメリカがイラクに戦争をしかけた湾岸戦争の真っ只中でした。結局、イスタンブール国際空港が米軍に収用されるとの事、イラク本土に近い首都アンカラも危険な状態との在日本大使館の判断に従いトルコを後にします。イスタンブールから、何処に抜けようかと思案した僕は旧オスマントルコ帝国領のチュニジアを目指します。すっかり旅の友になっていたアエロフロートを使いチュニスです。チュニジアといえば、ハンニバルのカルタゴです。そして、スターウォーズ他の撮影地でも知られるサハラ砂漠です。しかしながら、旅にはハプニングは付き物で、そうは簡単にチュニスに行かせてくれません(苦笑)。イスタンブールから6発のプロペラエンジン機に乗りました。
途中、エンジントラブルがありルーマニアのブカレスト空港(オトペニ)に緊急着陸します。翼の近くに座っていた僕は目を疑う光景を見てしまうのです。
正直、時間ってスローモーションになるんだ~って思いました。ツポレフ若しくはイリューシン(記憶が定かではない)の右翼外側のプロペラが断末魔の轟音を立てて止まり、この時点で僕の周りに居た数名の乗客だけが異変に気が付きます。続いて、その隣の内側のエンジンは火花を吹き黒い煙が上がり、軽い衝撃がきます。ここで、女性乗客の1人がエンジンが焦げ付いて居る事に気付き客室は大パ二ック!。映画みたいですが、客が騒ぎ始めると機の重心が乱れるのか、勝手に急旋回していきます。この間、僕はずっとコマ送り状態なんです。兵員輸送機だから大丈夫だろ~みたいな淡い期待感を込めて。東京―モスクワ間はツポレフで、「さすが兵員輸送機、シートを蹴ると倒れる、現役じゃん!」って思いながら、シベリア上空では、窓からミグ戦闘機が2機、パイロットの顔が視認出来る程度の距離で併走?したりして感動ものでした。それはともかく、
ロシア人スチュワーデス(現フライト・アテンダント)は、顔色1つ変えず言うわけです。「乗客の皆さん、右側に寄って下さい、大丈夫です、まだエンジンが4発残ってますから!、機長は元軍人です」って、、、。「違うだろぉ~!」ハナから右側に座っている僕は、結果的に一番協力してました。何とか着陸した僕ら乗客には「連帯」が生まれました。
ダメダメなエンジン下の車輪の不具合は皆には伏せておきました。
“修理出来ない?”らしく代替機がモスクワから来るとか来ないとかで、3時間程空港内に足止めされました。で、その代替機が今度は4発のプロペラエンジン機でした。
当時のブカレスト空港は、古き良き東側共産圏(末期)、何にも無い天井灯は間引きしていて暗く、8月だというのに寒く緊張感が有りました。さすが、軍港。厳かです。要所要所にソ連製AK47を持ち立っている兵士の兄ちゃんが怖いです。只1ヵ所を除いては、、、。
「生AK47じゃん!」って思いながら、空港内に免税店らしきものがあるわけです。
「ホントに免税なんかいっていう位の値段でキャビア(ベルーガ)が売っていました。
「小瓶で25000円(当時)って免税じゃねえだろ!」
2度目にトルコに訪問して陸路で黒海を観つつグルジアに抜ける旅、国境線密貿易ではロシア産で大瓶30ドル・中瓶20ドル・小瓶7ドルでした。これが、イスタンブールのバザールに行くと3倍から5倍。
イラン産は5倍から8倍でした。
ガタイのいい私服の係官達が「“免税店”で購入された方から搭乗して下さい」とのお達しで買いました、ベルーガの小瓶!!!(苦笑)。
オトペニ空港を後にした一行は、チュニス空港に多少強引なソフト・ランディングにもかかわらず、機内に拍手が沸き起こります。マジで隣の人と抱き合ってましたもん。
ロンドン、、、遠いねぇ。。。
その後、トルコのうっぷんを晴らすが如く、チュニジアを1周してリビアに憧れつつ、アルジェリアを抜けてモロッコ1周(スペイン領セウタ含む)、ジブラルタル海峡をフェリーで渡り、英国領ジブラルタルに滞在しつつ、バルセロナ以外のスペイン1周、ポルトガル1周をしてスペインのサンタンデールから英国に船で渡るのでした。やっとロンドンに着いた僕。当時、親戚が住んでおり下宿三昧でした。帰りは素直に、ロンドンーモスクワー東京で帰国しました。これが僕の最初の海外1人旅でした。最初からツアーやパック旅行を経験しなかった僕は、全て自分で行動を起こすという事を身を持って体験する事で1人前の?バックパッカーになるのでした。もちろん、現地の人々や旅先で出会った日本人先輩バックパッカーの方々、ロンリープラネット社のガイドブックには大変お世話になりました。ここで、改めて御礼申し上げます。
この旅が終わって落ち着いた頃、「ロンドンに行きたい!」は世界中に行きたいに変わっていました。そして「いつかは旅行会社を作りたい!」と思うのでした。終わり、、、、。
いや、続くか、、、、。
有限会社プレシャス クローマ
戸倉 博之 |